数字の「正解」だけでは、届かない場所がある
「市場調査のデータは完璧。機能も申し分ない。なのに、なぜかお客様の心に響かない」ものづくりの現場で、そんなもどかしさを感じることはありませんか?AIやデータ分析の進化で、私たちは顧客の行動を詳しく知ることができるようになりました。けれど、データはあくまで「過去の足跡」です。お客様自身さえ言葉にできていない「なんとなく好き」「なぜか心地いい」といった、直感的な感覚までは、数字だけではなかなか汲み取れません。特に、身体に直接触れる商品やサービスにおいて、この「言葉にならない身体の声」こそが、選ばれる理由そのものになります。今回は、いつものデータ分析に「身体の視点」という新しいレンズを一枚重ねることで、見過ごしていた価値を見つける方法についてお話しします。
「言葉にならない声」を拾う、新しいパートナー
私たちが提案したいのは、商品開発やリサーチの場に、「身体感覚の翻訳者」を招き入れるというアプローチです。それは、必ずしも「ダンサーを起用しましょう」という単純な話ではありません。開発チームの皆様が「素材や数値」のプロフェッショナルであるなら、そこに「人の動きや表情」を読み解くプロの視点を加えてみてはどうか、というご提案です。
例えば、ダンスインストラクターや身体表現の専門家たち。彼らは普段、言葉よりも先に、生徒さんの「身体」と対話しています。「動きにくい」と言う前の、一瞬の迷い。「リラックスしています」という言葉の裏にある、肩の力み。楽しそうな笑顔と、目の奥の緊張感のギャップ。彼らは、こうした微細なサインをキャッチすることに長けています。この「観察のプロ」の目をリサーチに取り入れることで、アンケート用紙には書かれない、お客様の「身体の本音」が見えてくるのです。
「頭」のガードを外す。リラックスから生まれるリアルな声
また、本当の声を聞くためには、場所の雰囲気もとても大切です。会議室で向かい合って「どうですか?」と聞かれると、誰でも少し身構えて、「よそ行きの答え」を用意してしまうものですよね。だからこそ私たちは、「身体を動かしながら感じる時間」を大切にしています。
音楽に合わせて少し動いてみたり、深呼吸をしたり。身体がほぐれると、自然と心のガードも下がります。企業と消費者という垣根を越えて、フラットに時間を共有する。そんなリラックスした空気の中でこそ、「あ、これ意外と好きかも」「ここはちょっと、気を使うな」といった、飾らない素直な反応がこぼれ落ちてきます。それを丁寧に拾い上げることが、本当のニーズを知る一番の近道だと私たちは考えています。
「身体」という視点をひとつ加えて、選ばれる理由をつくる
いつもの開発プロセスに、「生身の人間の感覚」をもう少しだけ、濃く反映させてみる。そうすることで、機能的なスペックだけでなく、手にした瞬間に「あ、いいな」と感じてもらえるような、体温の通った商品が生まれるはずです。
「今の調査方法に行き詰まっている」「もっと、お客様のリアルな感覚に触れたい」もしそんな風にお感じでしたら、まずは「身体の声を聞くとはどういうことか」から始めてみませんか。
