「研修直後の熱量」は、なぜ続かないのか?心と体を動かす「体験」が、組織の記憶を書き換えるヒント

「研修直後の熱量」は、
なぜ続かないのか?

「研修が終わった直後は皆やる気に満ちていたのに、1週間もすれば元の表情に戻っている……」

人材開発や研修企画を担当される皆様にとって、こうした「もどかしさ」は共通の悩みではないでしょうか。
これは決して企画の内容が悪いわけではありません。ある調査機関のデータによれば、座学中心の研修において、学習内容の約70%がわずか3ヶ月以内に忘れられてしまうという傾向も見られます。

一方で、現在「健康経営」を推進する先進企業の多くが、「従業員の心身の健康」と「イノベーション創出」には密接な関係があることに気づき始めています。

社員が疲弊していたり、チーム内の関係性が冷え込んでいたりする状態では、どれだけ有益な知識を注いでも、なかなか定着しないもの。それはまるで、満杯のコップにさらに水を注ごうとするようなものかもしれません。

本記事では、これまでの研修のあり方を少し見直し、「頭」だけでなく「心と体」を使ったアプローチが、なぜ今これほどまでに注目されているのか。そして、それがどのように組織の課題を解決していくのか、その可能性についてお伝えします。

1. なぜ「座って聞くだけ」では定着しにくいのか

これまで一般的だった「講師の話を静かに聞くスタイル」の研修。しかし、変化の激しい現代において、知識を一方的にインプットするだけの手法は、少しずつ限界を迎えつつあるのかもしれません。

「知識」から「体験」への転換

世界的なイノベーション企業が今、こぞって取り入れているのが「体験型」の学習プログラムです。
教室での講義ではなく、実際の課題解決プロジェクトに取り組んだり、チームで身体を動かして一つの作品を作り上げたり。

  • 一方的に聞く のではなく 対話を通じて深める
  • 暗記する のではなく 身体感覚として刻む
  • 一律のカリキュラム ではなく 個人の課題に即した体験を

「勉強させられている」と感じる時間は苦痛ですが、「夢中で何かに取り組んだ」時間は、ポジティブな記憶として残りやすいものです。この「感情が動く体験」こそが、学びを定着させるための接着剤のような役割を果たしてくれるのではないでしょうか。

2. 「健やかな心身」が、創造性の土台になる

「健康管理」と「スキル研修」を、全く別の施策として捉えてはいないでしょうか。
実は、この二つは切っても切れない関係にあると言われています。

リラックス状態が「ひらめき」を呼ぶ

緊張してデスクに向かっている時よりも、散歩中や入浴中など、ふとした瞬間に良いアイデアが浮かんだ経験は誰しもあるはずです。
先進的な企業では、このメカニズムを意図的に研修に取り入れる動きがあります。

  • マインドフルネス: 脳をリセットし、クリアな状態で議論に臨む。
  • 自然の中でのオフサイト: デジタル機器から離れ、五感を刺激することで思考の枠を外す。
  • コンディションの最適化: 心身の状態が良い時間に、創造的なタスクを配置する。

「健康だから働ける」という守りの姿勢から一歩進み、「心身を整えることで、本来のクリエイティビティを解放する」。そう捉え直すことで、研修の可能性は大きく広がるはずです。

3. データで見る「身体知」の効果

「体験型研修は楽しそうだが、ビジネスに直結するのか?」
そうした疑問を持たれるのも無理はありません。しかし、データを見るとその効果には一定の傾向が見えてきます。

1ヶ月後の定着率に表れる差

講義形式で聞いた内容は揮発しやすい一方、「体験・実践」を通じた内容は、1ヶ月後でも約65%が記憶に定着しているというデータもあります。身体感覚とセットになった記憶は、脳に深く刻まれやすいからだと考えられます。

「コスト」ではなく「未来への投資」

また、こうした「挑戦的な研修」を実施する企業では、特に若手社員の離職率が低い傾向も見られます。「会社が自分たちの成長に本気で投資してくれている」というメッセージが、エンゲージメントを高める要因になっているのかもしれません。

4. 「失敗しても大丈夫」な土壌を耕す

Googleの研究で注目された「心理的安全性(サイコロジカル・セーフティ)」。
「何を言っても否定されない安心感」は、言葉だけで伝えるのは困難です。だからこそ、研修という「安全な練習の場」が機能するのではないでしょうか。

研修だからこそ、失敗を「共有」できる

実務で失敗することは恐ろしいものですが、研修内のワークショップであればハードルは下がります。

  • あえて「自身の失敗談」を共有し、そこからの学びを議論する。
  • ゲーム感覚の課題で、「うまくいかない!」というプロセス自体をチームで楽しむ。
  • 上下関係なく、フラットに意見を出し合う練習をする。

こうして「失敗しても受け入れられた」「素直に話せた」という安心の実績を積み重ねること。それが、現場に戻った後の「少し相談してもいいですか?」という、自発的なコミュニケーションにつながっていくことが期待できます。

5. 体験型研修が組織にもたらす、3つの価値

最後に、身体を動かし、心を揺さぶる研修を取り入れることで、組織にどのような変化が生まれうるのか。3つのポイントに整理しました。

① 「この仲間なら頑張れる」(エンゲージメント向上)

共に課題を乗り越える体験は、理屈を超えた連帯感を生み出します。この「仲間意識」は、困難な状況に直面した際、組織に留まり挑戦を続けるための強力なアンカー(錨)となり得ます。

② 「言わなくても伝わる」(信頼関係の構築)

ダンスやアウトドアなど、正解のない活動を共にすると、同僚の新たな一面が見えてきます。「慎重に見えて決断力がある」といった相互理解が深まり、日常業務の連携コストが下がったという声も多く聞かれます。

③ 「新しい風が吹く」(イノベーション創出)

いつもと同じ会議室、同じメンバーでは、発想も似通ってしまいがちです。非日常な空間で、身体を動かしてリフレッシュした状態で対話する。ただそれだけで、凝り固まっていた思考がほぐれ、部門を超えた新しいアイデアが生まれるきっかけになるかもしれません。

組織の「基礎体温」を高める投資を

研修とは、単に知識やスキルを詰め込むだけの場ではないはずです。
まずは社員の皆様が心身ともに健康で、安心して能力を発揮できる「組織の基礎体温」を上げること。それこそが、人材開発の第一歩と言えるのではないでしょうか。

「今回の研修、参加してよかった」
「チームの空気が少し変わった気がする」

研修後にそのような声が聞こえてくれば、組織は確実に良い方向へ動き出しています。
身体が動けば、心も動く。そして心が動けば、ビジネスはもっと加速する。
貴社のチームにも、そんな温かく力強い変化を取り入れてみてはいかがでしょうか。

貴社のチームに、「心に残る体験」を。

LinoPodでは、心と身体を動かす独自のプログラムをご提案しています。
「今の研修に少し変化を加えたい」
そんな段階からでも構いません。まずは貴社の課題感をお聞かせください。

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