2024年7月26日(金)~2024年8月11日(日)に開催される『パリ2024オリンピック』。楽しみにされている方も多いのではないでしょうか。
そのなかでも注目は、パリ2024で唯一の新競技として追加された「ブレイキン」。さまざまな種類があるダンスのなかでもブレイキンが採用されたことで、「ダンス」の世界に注目する人が増えるようになりました。
この記事では、オリンピック種目であるブレイキンについてご紹介します!
パリ2024で競技種目となったダンス競技「ブレイキン」
「ブレイキン」は、日本では「ブレイクダンス」という名で知られている、ダンススポーツの一種。2018年にアルゼンチンで開催されたブエノスアイレスユースオリンピックでは1対1のバトル形式が採用され、DJの音楽に合わせるかたちで交互にダンスを披露しました。この後、ブレイキンは正式なダンススポーツ競技として採用されることになりました。
ブレイキンは、音楽を担当するDJと司会進行のMCがいることが大きな特徴で、基本的には1対1~2対2、もしくは大人数のチーム同士でお互い向き合いながらダンスバトルを行います。これは、他のダンススポーツには見られない形式ですね!
ブレイキンがパリ2024に採用された理由は、オリンピックへの関心が薄い若い世代を呼び込むためだと言われています。近年、日本でも人気の高いブレイキンはさまざまな場所で大会が開催されていて、ダンス競技のなかでも知名度と人気が高い競技のひとつです。
音楽さえあれば場所を選ばずにできるブレイキンの競技人口は、日本のみならず世界的に見ても増加傾向にあります。経済力は関係なく誰でもできる競技であることと、平和を信念とするHIPHOPの精神からブレイキンはオリンピック精神に沿っている競技だと言えるでしょう。
ダンス競技のメダルってどういうジャッチ方法?
パリ2024で設定されているルールは、1対1のバトル形式です。交互に最大1分間ずつダンスを披露し、これを3ラウンド繰り返して勝敗を決めていきます。
パリ2024では、以下の5つの採点基準によって勝敗が決められます。
- 技術性
- 多様性
- 完成度
- 独創性
- 音楽性
これらをもとに男女16人ずつが「Bボーイ・Bガール」のNo.1を目指して戦います。
競技ってどうやって競うの?
ブレイキンはアクロバティックな動きを取り入れたダンスで、身体のあらゆるところを使って回ったり跳ねたりするのが特徴ですが、実際の競技ではどのように戦うのでしょうか?ここではブレイキンの実際の競技内容について解説していきます。
競技内容
ブレイキンは以下の4つの要素から構成されています。
トップロック
トップロックとは、選手が立った状態で行う基本のステップを指します。これは足のステップと上半身を組み合わせたダンスのスタイルで、ステップを活かしたムーブメントが特徴です。
ほとんどのラウンドでは、このトップロックから演技がスタートします。トップロックの動きにはそれぞれに意味や解釈が存在しており、それらを構成することでダンスの世界観を表現したりアピールしたりします。
フットワーク
フットワークとは、かがんだ状態でフロアに手をつき、素早く足を動かしたりステップしたりする挑発的な振り付けのことを指します。ステップを組み合わせることで独自の脚さばきを披露できるのでオリジナリティを出すことができます。
パワームーブ
パワームーブはブレイキンを代表する動きです。ムーブとトリックの数々は、ブレイキンのなかで最もダイナミックでアクロバティックな動きになります。頭で回転するヘッドスピン、背中や肩で回転するウィンドミルなどが代表的な技で、回転や跳躍を多用する動きが特徴です。
これらのような高難易度の技は、ブレイキンにおける大きな見どころだと言えるでしょう。
フリーズ
ここまで紹介したトップロック・フットワーク・パワームーブなどの流れから、音楽に合わせるかたちで動きを数秒間停止する技をムーブと呼びます。この動きでは、しっかりと止めるパワーやバランス力、柔軟性が重要になります。
逆立ちや肘、頭で身体を支える逆さまのポーズが特徴で、椅子に座っているように見せるチェア・フリーズが有名です。
審査方法
ブレイキンで使用する音楽はDJが選びますが、競技者はバトルのステージに立ったその時に初めて曲を聞くことになります。お互いに即興で踊ることとなるため、ダンスのスキルはもちろんのこと、ダンス以外にもさまざまな能力が求められるのがこの競技のおもしろいポイントです。
ジャッジは、手元のタブレット端末に「ボディ・ソウル・マインド」の3ポイントの評価を入力するかたちで行われます。
点数配分
- テクニック・ボディ(技術)40点
技の難易度やテクニック、バリエーションに加えて、演技が円滑に行われているかといったクリーンさ・スムーズさも採点基準になります。また、選手のボディコントロール能力や運動神経のよさもジャッジの対象です。 - パーソナリティ・オリジナリティ (表現)40点
雰囲気や演技、技、動きの表現能力やオリジナリティを評価します。また、技や動きの間の接続部分を審査し、すべての技や動きのクオリティを細部まで表現できているかといった部分も評価対象です。 - 総合性40点
技や動きがさまざまなかたちで構成されているか、技や演技の完成度、音楽に対してビートを刻めているかなどを評価します。また、相手選手の演技へのリアクション、会場や音楽の雰囲気への対応、バトルにおけるパフォーマンス性もジャッジの対象です。 - 加点項目10点
ジャッジや会場が衝撃を受けるような大技や常識を超えるパフォーマンス、今までにない新しい技や動き、音の表現などを組み合わせて大きな効果が発揮されたと認められた時に加点されます。 - 減点項目 各-5点
同じ技を繰り返す、相手選手の真似をする、失敗やミスはもちろんのこと、公序良俗に反する行為についても減点対象です。 - 減点項目 失格
公序良俗に反するようないき過ぎた行為やドーピング違反、演技の続行が不可能と判断された場合はロストポイントとなります。もしも、すべてのポイントがゼロになると、バトルは強制的に終了されます。
どこの国のダンスが盛ん?強い?
2024年3月に東京で開催されたブレイキン大会「FUJIFILM INSTAX Undisputed Masters」では、過去に世界中で開催された大会のチャンピオンたちが集結。大会では、ブラジル出身のSamukaとリトアニア出身のNickaがワールドチャンピオンに輝きました。
欧米選手たちのタフな演技のなか、日本選手も負けじと活躍の場を広げています。Issin選手は 世界選手権香港大会金メダル、Red Bull BC One 2023パリ大会優勝。Hiro10選手はUndisputed Mastersアメリカ大会優勝、世界選手権香港大会銅メダル。Ayumi選手は世界選手権ベルギー大会銀メダル、アジア大会銅メダルを獲得しています。
世界的に見てもアツイ戦いが繰り広げられているブレイキンの世界。日本選手たちの今後の躍進に期待大です!
日本チームの推しは?
パリ2024ブレイキン競技に参加する選手は各国2名までで、日本からはShigekixこと半井重幸とAYUMIこと福島あゆみの2名が出場します。
Shigekix は、7歳でブレイキンを始め、11歳で海外の大会で数多くの優勝を獲得。14歳でトップアスリートが加盟するTeam G-Shockに加入しています。2018年にはブエノスアイレスユース五輪にて銅メダルを獲得しました。
また、2020年Red Bull BC One World Finalでは世界最年少で優勝。2020~2023年のJDSF全日本ブレイキン選手権を3連覇しました。そして、2023年に行われたアジア競技会にて金メダルを獲得し、パリ五輪への出場を内定させています。
Shigekix は、これまでに47回の国際大会での優勝を経験。パリ2024では、もっとも活躍が期待されるBボーイの1人であると言えるでしょう。
AYUMIは、19歳の時にカナダのバンクーバーへ留学した後、ブレイクダンスを始めました。
2007年に帰国するまでに、Massive Monkey Day B-girl Battle、Hwaiian HipHop B-girl battleの優勝をはじめ、Ash to Ash、Out4Fameなど、カナダやアメリカで行われた数々のイベントで好成績を収めています。
帰国後は、2008~2009年 IBE 4on4 B-gril Battleで2年連続優勝。2010年にはフランスで開催されたWe B-girlz Finalで優勝、 2011~2012年 Urbanconnection B-girl Battleでも優勝しました。
AYUMIは、世界で注目されている’Body Carnival ’のメンバーであり、ラジオやテレビ、新聞にも多数とり上げられています。さらに、2012年にはOld school で結成されたRz manaticのメンバーに加入し、活動の場を広げています。
Bガールらしさも兼ね備えながら、Bボーイに引けを取らないクリエティブムーブをもつトップレベルのBガールの一人です。
まとめ
2024年7月26日(金)~2024年8月11日(日)に開催される『パリ2024オリンピック』で、初めての新競技として注目を集めている「ブレイキン」。
ブレイキンは、2018年に開催されたブエノスアイレスユースオリンピックをきっかけに、正式なダンススポーツ競技として採用されることになりました。
ブレイキンがパリ2024に採用された理由は、オリンピックへの関心が薄い若い世代を呼び込むためだと言われており、音楽さえあれば場所を選ばずにできるブレイキンの競技人口は、日本のみならず世界的に見ても増加傾向にあります。
日本からはShigekix(半井重幸)、AYUMI(福島あゆみ)、AMI(湯浅亜美)、Hiro10(大能寛飛)が出場します。
多くのアスリートの大舞台パリ2024、ブレイキンの奥深い世界も楽しんでみるのはいかがでしょうか?