健康経営は「福利厚生」から「投資」へ。 ジム補助だけでは届かない「行動変容」と「組織の熱量」を創る次世代アプローチ。

健康経営の評価軸は「実施」から「成果(アウトカム)」へ

日本の企業社会において、「健康経営」という言葉はもはや新しい概念ではなくなりました。しかし、その内実は大きな転換点を迎えています。これまでの健康経営が「ホワイト企業であることを示すためのバッジ(認定)獲得」をゴールとしていたのに対し、2026年以降は「経営戦略としての実利(ROI)」を問われるフェーズへと移行しています。

認定の価値は「取得」から「差別化」へ。新設「ネクストブライト1000」の意義

最新の2025年データを見ると、企業の健康経営に対する関心は爆発的な高まりを見せています。特に注目すべきは中小規模法人部門の動向です。申請数は前年比約16%増の23,485社に達し、その裾野は急速に拡大しています。

この背景には、人材不足が深刻化する中で「選ばれる企業」であるための必須条件として健康経営が認識され始めたことがあります。しかし、参加企業が増加するということは、単に「認定を取得した」だけでは差別化が難しくなることを意味します。

こうした状況を受け、2025年度からは中小規模部門において、上位500社(ブライト500)に次ぐ新たな評価冠として**「ネクストブライト1000」**が新設されました。これは、企業間の健全な競争を促すと同時に、より上位の質を目指すモチベーションを高めるための施策です。つまり、これからの健康経営は「とりあえず申請すれば認定される」ものではなく、「優れた取り組みを行い、実績を出さなければ評価されない」という時代に突入したのです。

問われるのは「行動変容」。形だけの施策が通用しない時代

評価基準の質的転換も見逃せません。これまでは「健康診断を実施したか」「ストレスチェックを行ったか」といった「実施(Output)」の有無が重視されていました。しかし、2025年以降のトレンドは明確に**「成果(Outcome)」**へとシフトしています。

具体的には、以下のような「結果」が問われます。

  • 運動習慣の定着率:イベントを開催しただけでなく、従業員の生活習慣が実際に変わったか。
  • 具体的な課題へのアプローチ:女性特有の健康課題(フェムテック)や、高年齢労働者の増加に伴う転倒防止対策など、多様な人材が長く働ける環境を整備できているか。

単に福利厚生サービスと契約しているだけ、あるいは年に一度のイベントを開催しているだけでは、「健康経営を実践している」とは評価されません。経営者や推進担当者に求められているのは、**「従業員の行動変容を促し、組織のパフォーマンスを最大化させる」**という、本質的な経営課題への取り組みなのです。

「やらされる健康」から、参加意欲を湧き立たせる「動的マインドフルネス」のメカニズム

成果(アウトカム)を出すために最大の壁となるのが、従業員の「やらされ感」です。「会社に言われたから歩く」「ポイントがもらえるから入力する」といった外発的な動機付けだけでは、継続的な行動変容は望めません。ここで重要になるのが、脳科学に基づいたプログラム設計です。

なぜ、ジム補助だけでは「組織」が変わらないのか

多くの企業が導入している「ジム利用補助」や「ウォーキングアプリ」は、個人の健康増進には一定の効果があります。しかし、これらはあくまで「個人的な活動」であり、組織の課題である「部門を超えたコミュニケーション」や「チームビルディング」には直結しません。ジムで黙々とランニングマシンで走っていても、隣の部署の同僚との絆は深まらないのです。

組織としてのROIを高めるためには、**「集団で取り組むこと」自体に価値を持たせる必要があります。しかし、運動が苦手な層にとって、集団での運動はストレスになりかねません。このジレンマを解消するのが、LinoPodが提唱する「動的マインドフルネス」**ダンスフィットネスのアプローチです。

ドーパミンとデュアルタスク:脳がハマる「LinoPod」の設計図

私たちが提供するダンスフィットネスプログラムは、「頑張って運動する」ことを強要しません。代わりに、脳の報酬系に直接働きかけるメカニズムを採用しています。

  1. 音楽とリズムによるドーパミン誘発
    音楽に合わせて身体を動かすとき、脳内では快楽物質であるドーパミンが分泌されます。これにより、「運動=辛い」という認識が「楽しい=またやりたい」という内発的な動機へと書き換わります。これは「フロー状態(没頭)」に入りやすい環境を作り出し、ストレス解消と同時に脳の活性化を促します。
  2. デュアルタスクによる脳の活性化
    ダンスやリズム運動特有の「動きを覚える(認知課題)」と「実際に動く(運動課題)」を同時に行うプロセスは、デュアルタスク・トレーニングとして脳の前頭前野を強く刺激します。これは単なる体力向上だけでなく、業務遂行能力(ワーキングメモリや判断力)の向上にも寄与します。
  3. シンクロニーによる心理的安全性
    集団で同じリズム、同じ動きを共有することで、無意識レベルでの「連帯感」が生まれます。これを心理学では「シンクロニー」と呼びます。言葉を交わさずとも、身体感覚として「仲間である」という認識が醸成されることで、心理的安全性の土台が構築されるのです。

健康経営が企業の資産に変わる。「人材の再発見(Rediscovery)」という新たなROI

これまで健康経営のROI(投資対効果)といえば、医療費の削減や欠勤率の低下といった「マイナスの抑制」で語られがちでした。しかし、Linopodはここに**「プラスの創出」**という新たな指標を提示します。

それが、**「人材の再発見(Rediscovery)」**です。

役職という日常の『役割(ロール)』を脱いだ時、真のリーダーシップが露わになる

オフィスにおいて、私たちは常に「部長」「課長」「新入社員」といった役割(ロール)や肩書きという「ビジネスのタグ」を纏っています。会議室での発言力や態度は、このヒエラルキーに大きく依存します。しかし、スタジオやフィットネスの場において、このヒエラルキーは一時的に無効化されます。

リズムに乗り、身体を動かすというフラットな環境下では、以下のような「意外な一面」が可視化されます。

  • 隠れたサーバントリーダーシップ
    普段は目立たない若手社員が、振付に戸惑っている年配の役員にさりげなく声をかけ、サポートしている姿。ここには、他者への共感性と、自発的に手を差し伸べるリーダーシップの萌芽が見て取れます。
  • 心理的柔軟性と愛される力
    普段は厳格で近寄りがたいベテラン管理職が、リズムに乗れずに苦笑いしながらも、周囲と一緒に楽しもうとしている姿。自身の弱みをさらけ出せる(自己開示できる)態度は、チームの心理的安全性を高める上で不可欠な要素です。
  • ポジティブな影響力(インフルエンサー)
    役職に関係なく、その場を明るくし、周囲を巻き込んで盛り上げることができる人物。こうした「場の空気を変える力」を持つ人材は、組織変革のキーマンになり得ます。

現場の「熱量」から見極める、適材適所と研修ニーズ

このような「身体を通したコミュニケーション」の場から得られる情報は、その人の「人間力(ヒューマンスキル)」を物語ります。

この「発見」こそが、適材適所の配置や次世代リーダーの抜擢といった具体的な人事施策へと還元され、結果として企業の持続的な成長を支える「資産」として積み上がっていくのです。

  • 次世代リーダーの選抜:周囲への配慮や巻き込み力が高い人材を、プロジェクトリーダーに登用する。
  • 研修計画の最適化:コミュニケーションに課題がある部門や、心理的安全性が低いチームを特定し、チームビルディング研修を重点的に実施する。
  • エンゲージメントの向上:個々の「素の魅力」が認められる場を作ることで、組織への帰属意識を高める。

投資対効果(ROI)の再定義:PL(損益)だけでなくBS(資産)への投資へ

これまでの健康経営のROIは、医療費削減や病欠日数の減少といった「コスト削減(PL的視点)」で語られがちでした。しかし、これからのROIは「人的資本の価値向上(BS的視点)」で語られるべきです。

具体的なKPI設定:コミュニケーション、イノベーション、そしてエンゲージメント

戦略的な健康経営においては、以下の3つの軸でKPIを設定し、活性化を目指します。

  1. コミュニケーション活性化(サイロ化の解消)
    • KPI例:部門横断的なプロジェクトの発生件数、社内SNSでの部署を超えた交流数、従業員サーベイにおける「他部署との連携」スコア。
    • 成果:LinoPodのような全社イベントを通じて「顔見知り」が増えることで、業務上の調整コストが下がり、組織のサイロ化が解消されます。
  2. イノベーションの創出(心理的安全性の確保)
    • KPI例:新規事業提案数、業務改善提案の提出数、会議における発言の多様性。
    • 成果:組織内に顔見知りが増え、フラットな関係性の中でこそ、自由な発想や新しいアイデアが話しやすくなります。
  3. 人材開発と人事制度への還元(パフォーマンス向上)
    • KPI例:従業員エンゲージメントスコア、離職率の低下、リーダー職への立候補者数。
    • 成果:前述の「人材の再発見」を通じて、適切な配置と評価が行われることで、個人のパフォーマンスが最大化されます。心身の充実は、サービス品質の向上(CS)にも直結します。
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