数字ではなく「温度」を測る。なぜ今、ウェルネス企業に“体験型リサーチ”が求められているのか

「データは十分に揃っているはずなのに、次の一手が見えない」

スポーツウェア、フィットネス、健康食品、ウェルネスガジェット。
市場は拡大し、顧客データや行動ログも、かつてないほど蓄積されています。

それでも、商品企画やマーケティングの現場から、こんな声が聞こえてくることはないでしょうか。

  • 競合との差別化につながる“決め手”が見えない
  • ユーザーインタビューをしても、想定内の答えしか返ってこない
  • スペックや機能には自信があるのに、なぜか「刺さらない」

これは、努力や分析が足りないからではありません。
むしろ逆です。

私たちは今、数字では測れない価値が、意思決定に占める比重を急速に高めているフェーズにいます。


定量データでは見えないものが、価値を左右する時代

ウェルネス領域の商品価値は、年々「情緒的」になっています。

  • 着心地がいい
  • なんとなく気分が上がる
  • 使ったあと、身体が軽い気がする
  • 不思議と続けたくなる

これらは購買や継続を左右する重要な要素ですが、
NPSや5段階評価、クリック率といった数値だけでは、正確に捉えきれません。

ユーザー本人でさえ、
「なぜ良いと感じたのか」を言葉にできないことが多いからです。

結果として、次のような状況に陥りがちです。

  • アンケート結果は“平均点”に収束する
  • 競合と似たようなメッセージになる
  • 「悪くはないが、強くもない」商品や施策が増える

ここで必要なのは、
より多くのデータではなく、異なる角度からの理解の仕方なのかもしれません。


開発とユーザーの間に生まれる「感覚のズレ」

特にウェルネス業界では、
開発者とユーザーの間に、微妙なズレが生まれやすい傾向があります。

開発側はどうしても、以下に目が向きがちです。

  • 素材
  • 機能
  • 数値改善
  • 技術的優位性

一方、ユーザーが見ているのは次のような判断軸です。

  • その日、着たいか
  • 使った瞬間にどう感じるか
  • 自分の生活に自然に馴染むか

このズレは「どちらが正しいか」という問題ではありません。
課題は、この感覚のズレをすり合わせる手段が十分に用意されていないことにあります。


「温度」を測る場所は、どこにあるのか

数値にならない感覚や情緒は、どこで捉えられるのでしょうか。
ヒントは、ユーザーが“考える前に反応している瞬間”にあります。

  • 身体を動かした瞬間の無意識の表情
  • できた/できないに対するリアクション
  • 他者と比較したときの距離感や感情
  • 言葉になる前の「楽しい」「疲れた」「恥ずかしい」という反応

これらはアンケートではなく、体験の現場に現れます。
特にダンスや運動のような身体体験は、
ヒューマンインサイト/ライブインサイトの本質が非常に見えやすい領域です。


ダンスインストラクターは「ライブインサイト」のプロである

ダンスインストラクターは日常的に、
言語化しにくい身体感覚を扱い、反応の違いを観察し続けています。

ユーザーの無意識な反応を、
言葉や行動として翻訳するプロフェッショナルとして、伝えてくれます。

  • どんな動きで戸惑うのか
  • どんな声かけで表情が変わるのか
  • どの瞬間に楽しさがピークになるのか

商品やブランドが目指す
「心地よさ」「高揚感」「続けたくなる理由」は、
まさにこのレイヤーに存在しています。


体験型リサーチという、もう一つの選択肢

こうした背景から注目されているのが、
体験そのものをリサーチに組み込むアプローチです。

私たちが提供している
「ダンスインストラクターを活用した体験型リサーチ」も、その一例です。

  • 語らせる前に、まず動いてもらう
  • 体験中の反応・空気感を観察する
  • 現場で感じた違和感や発見を記録する

ここで得られるのは結論ではなく、
次の仮説につながるヒントです。


マーケティングを「参加型」へアップデートする

私たちはこの考え方を、
**「コ・エクスペリエンス型マーケティング」**と呼んでいます。

マーケティングを、調査して分析する活動から、
ユーザーと同じ体験を共有し、その場で生まれるヒューマンインサイトを意思決定に活かすプロセスへ。

数字や言語化された意見だけに頼るのではなく、
体験の中で現れる反応や空気感を捉えることで、
企画・開発・施策の判断精度を高めていく。

それが、
「感覚の解像度」を一段引き上げるということと捉えています。

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