日本における「ダンスの習い事市場」は、近年多様化と成長を続けており、さまざまな年齢層や目的に応じたプログラムが提供されています。以下に、ダンス習い事市場の現状と今後の展望についてみてみましょう。
1. 市場規模と成長傾向
市場規模
日本のダンス習い事市場は、フィットネスやエンターテインメント産業の一部としてその位置を築きつつあります。具体的な市場規模の統計は年ごとに変動しますが、Dリーグの人気や、ダンススタジオの増加、フィットネスジムのスタジオプログラムでのダンスエクササイズの人気など、いくつかの要因から、この市場が拡大しつつあることが推察されます。
- フィットネスブーム
健康志向の高まりにより、エクササイズとしてのダンスが特に人気を集めています。学生時代にダンスをやっていた層が社会人となり仕事終わりや趣味として再びダンスに触れる環境を求めていたり、ダンステクニックというよりかは、ダイエット目的やリズムに合わせて身体を動かすフィットネス要素の強いズンバやエアロビクスダンスやカーディオダンスといったプログラムは、運動を楽しく続けたい層に支持されています。 - オンラインレッスンの普及
コロナ禍以降、オンラインでのダンスレッスンが一般化し、地理的な制約を超えて多くの人がダンスを学ぶ機会を得ました。オンラインならではの手軽さや利便性が、現在もニーズとして確立されています。 - 多様なダンスジャンルの登場
ヒップホップ、K-POP、社交ダンス、バレエ、ジャズダンスなど、多様なジャンルが提供され、これにより、幅広い年齢層や目的に対応した市場の拡大が見込まれています。
成長率
具体的な成長率のデータは限られているものの、フィットネス産業全体の成長率(年間約3~5%)に連動して、ダンス市場も同様の成長を見せていると考えられます。特に都市部ではダンススタジオの数が増加しており、引き続き市場拡大の期待が高まっています。
2. 人気のダンスジャンル
フィットネスダンス
フィットネスダンスは、健康維持やダイエットを目的とした運動として人気があります。楽しく体を動かせることで、続けやすいという利点があり、幅広い層から支持されています。
- ズンバ
ラテン系の音楽に合わせて体を動かすズンバは、特に女性に人気です。音楽のリズムに合わせて楽しく運動できるため、運動初心者でも続けやすいのが特徴です。 - エアロビクスダンス・カーディオダンス
高強度の運動を通じてカロリーを消費し、体力を向上させることができるクラスです。こちらもフィットネス愛好者に支持されています。
ストリートダンス
若者に人気が高いストリートダンスは、ヒップホップやK-POPダンスが代表的です。これらのジャンルは、自己表現の手段として、またはポップカルチャーの影響を受けたエンターテイメントとして受け入れられています。
- ヒップホップ
ストリートカルチャーと強く結びついたヒップホップは、特に若者の間で根強い人気を誇っています。自由で力強い動きが特徴で、表現力や個性を重視する人々に愛されています。 - K-POPダンス
韓国のポップカルチャーが日本にも多くの影響を与えており、K-POPダンスはその代表的な一つです。特にティーンや20代の間で大人気で、ダンススクールやオンラインレッスンでも人気のプログラムです。
クラシックダンス
クラシックなダンスジャンルも依然として人気があり、特にバレエやジャズダンスは、芸術性や技術力を重視する層に支持されています。
- バレエ
バレエは、長年にわたり、女性を中心に高い人気を誇っています。クラシックな美しさを追求しながら、体の柔軟性や筋力を鍛えることができ、年齢を問わず多くの人に支持されています。 - ジャズダンス
バレエとストリートダンスの要素を組み合わせたジャズダンスは、表現力豊かに身体を動かし時にや力強く踊り、音楽に合わせた動きが魅力です。
社交ダンス
社交ダンスは大人向けのクラスが充実しており、特に中高年層に人気です。タンゴ、ワルツ、ルンバなどのスタイルがあり、社交的な交流を求める人々にも親しまれています。
その他のジャンル
- コンテンポラリーダンス
表現力豊かなスタイルが、アーティスティックな層に支持されています。自由な動きと独自のストーリー性を重視するダンスで、自己表現の一環として注目されています。 - ボディポップやヒップホップフリースタイル
自由で個性的な動きを重視するこれらのスタイルは、若者を中心に人気があり、自己表現のツールとして愛されています。
3. ターゲット層とデモグラフィック
年齢層
ダンス市場は、幅広い年齢層をターゲットにしたプログラムを提供しています。
- 子供向け
バレエやキッズヒップホップなど、基礎から学べるプログラムが人気です。子供の体力向上や、リズム感の育成に適しています。 - 若者向け
ヒップホップやK-POPダンスなど、流行に敏感なジャンルが好まれています。自己表現の一環としてダンスを学びたい若者が多く集まっています。 - 大人向け
社交ダンスやフィットネスダンス、コンテンポラリーダンスが人気です。リラクゼーションや健康維持を目的に、気軽に参加できるプログラムが豊富です。 - シニア向け
リハビリや健康維持を目的としたプログラムが増加中です。音楽に合わせて関節の柔軟性を高め、体力を保つための優しい運動が求められています。
性別
ダンス市場は性別によっても傾向が異なります。
- 女性
女性の参加率が高く、特にバレエやジャズダンス、フィットネスダンスが人気です。健康志向や美容効果を期待して参加する人が多いです。 - 男性
ヒップホップやストリートダンスに対する関心が近年高まっており、男性参加者も増加しています。自由で力強い動きを取り入れたスタイルが、自己表現として注目されています。
まとめ
日本のダンス習い事市場は、多様なジャンルやプログラムが提供されており、年齢や性別を問わず多くの人々に支持されています。フィットネス目的のダンスや自己表現としてのダンスなど、さまざまなニーズに対応したプログラムが市場を支え、オンラインレッスンの普及も市場の成長を後押ししています。今後は、30代以上の世代に向けたダンスニーズに応えるために、ステップやテクニックの基礎を学べるクラスや、馴染みの音楽に身体を楽しく動かすダンスクラスやそれらのニーズに応えるべく振り付けを提供するサービスや、クラスでどのようにダンスを教えれば良いのか?どのようなダンスクラスを運営することが求められているのか?といったインストラクターを育成できる環境も必要となってくるでしょう。健康志向やライフスタイルの変化に合わせて、エクササイズとしてのダンス市場はさらに拡大の余地があると考えられます。