「強い組織」は、なぜスポーツチームに似ているのか? ビジネスの成果を最大化する“身体”の科学

ビジネスの世界では、よく「組織を一丸にする」「チームワークを高める」といった言葉が使われます。
しかし、戦略やITツールがどれほど進化しても、それを実行するのは生身の人間です。

ここで少し、視点を変えて「スポーツチーム」を想像してみましょう。
優勝争いをするような強いチームに共通していること。それは、選手一人ひとりのコンディションが整っており、フィールド上で「言葉を使わなくても意思疎通ができている」ことではないでしょうか。

ビジネスも、本質はまったく同じはずです。
「心身ともに健康(ヘルシー)な個人」が集まることで「健全(サウンド)な関係性」が生まれ、それが結果として「最高のパフォーマンス」につながる。

今回は、この「個人の健康」から「組織の成果」へとつながる成功のルートについて、多くの企業が見落としがちな“身体性”の視点から紐解いていきます。

「健全な個人」なくして、「強い組織」は作れない

「働き方改革」や「健康経営」が進み、長時間労働の是正などは進んできました。
しかし、そこからもう一歩進んで「イノベーション」や「高い成果」を生み出すためには、マイナスをゼロにするだけでは足りません。

組織のパフォーマンスを最大化するには、以下の3つのステップが不可欠だと言われています。

  1. 個人の健康(Health):社員一人ひとりが心身ともに満たされ、エネルギーがある状態。
  2. 組織の健全性(Soundness):余裕があるため他者を信頼でき、心理的安全性が高い状態。
  3. 組織の成果(Performance):活発な議論や協力が自然発生し、ゴールへ向かう状態。

スポーツ選手が怪我を抱えたままではベストプレーができないように、ビジネスパーソンも心と体に「余裕」があって初めて、クリエイティブな仕事ができます。
まずは土台である「個人の活力」を高めること。それが、遠回りのようでいて、実は強い組織を作る最短ルートなのです。

言葉の限界を超える「リズム」の力

では、スポーツチームのような「阿吽の呼吸」や「信頼関係」を、デスクワーク中心のオフィスでどう作ればよいのでしょうか。
言葉で「信頼しよう」「ワンチームになろう」と唱えるだけでは、なかなか空気は変わりません。

そこで注目されているのが、「身体的な感覚(リズム)を共有する」というアプローチです。

人間には、他者と同じ動作を行ったり、同じリズムを共有したりすると、理屈抜きに相手への親近感を抱く「シンクロニー(身体的同期)」という性質があります。
スポーツの試合前の円陣や、祭りの踊りなどが良い例です。共に体を動かし、呼吸を合わせることで、脳は相手を「敵」ではなく「味方」だと深く認識します。

このメカニズムを、実際のビジネスシーンに応用している例をみてみましょう。

全員で立ち上がり、軽く音楽に乗って体を動かしてみる。すると、そこには自然な会話と笑顔が溢れ出します。

「〇〇さん、意外と体が柔らかいですね!」 「リズム取るの上手いじゃないですか」 「いやー、これ見た目より難しいな(笑)」

張り詰めていた空気が一気に和み、互いの知らなかった一面を垣間見る瞬間です。 「PCと睨めっこをし、必要な時だけ会話する」。そんな無機質になりがちな日常業務の中に、こうした**一緒に運動することで起こるやり取り**が生まれること。それこそが、チームの一体感を変えるきっかけになるのです。

「動き」が揃うと、心のチューニングも合う

身体活動、特に音楽に合わせて体を動かすことには、単なる運動不足の解消以上に、組織の関係性をアップデートすると考えられています。

フラットな関係性へのリセット

オフィスワークではどうしても「上司と部下」という役割が固定されがちです。
しかし、身体を動かす場面では、その肩書きは意味を持ちません。全員が一人の人間として、同じ音楽を感じ、同じステップを踏む。
この「役割がリセットされる時間」を持つことで、若手社員も萎縮せずに意見が言えるような、風通しの良い空気が生まれます。

ポジティブな感情の共有

体を動かして血流が良くなると、脳内ではセロトニンやドーパミンといった神経伝達物質が分泌され、自然と前向きな気持ちになります。
「楽しい」「気持ちいい」というポジティブな感情をチーム全員で共有体験すること。これが、プロジェクトの困難を乗り越える際の「精神的なバネ(レジリエンス)」となります。

健康経営を、組織の「エネルギー源」にする

「健康経営」という言葉を聞くと、義務的な健康管理をイメージされるかもしれません。
しかし、これからの時代に求められているのは、社員が楽しみながら参加し、結果として組織の熱量が高まるような「カルチャーとしての健康づくり」です。

  • 始業前に、リズムに合わせて呼吸を揃え、スイッチを入れる。
  • チームビルディングの一環として、簡単なムーブメントを楽しみ、互いの意外な一面を知る。

こうした「共に動く時間」の積み重ねが、スポーツチームのような強固な信頼関係を築き上げていきます。

まずは、深呼吸ひとつから

優れた戦略も、最新のツールも、それを使う「人」が元気でなければ機能しません。

「健康な人が、健全な組織を作り、最高の結果を出す」

このシンプルな成功法則を実現するために、まずはチーム全員で大きく深呼吸をし、体を動かしてみることから始めてみませんか?

心地よいリズムと、笑顔のコミュニケーション。
それが、御社のビジネスを加速させる新しいエンジンになるはずです。

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