事業リーダーが知るべき「フィットネス」という対話ツール
業務プロセスの効率化が進み、リモートワーク等の環境整備が整った現代のビジネスフィールド。 生産性が向上した一方で、多くの事業リーダーが次のフェーズとして**「非連続な成長(イノベーション)」や「組織間の有機的な連携」**を課題に挙げています。
論理的(ロジカル)に最適化された組織において、創造性や柔軟なコミュニケーションをどう生み出すか。 その有効なソリューションの一つとして、近年注目されているのが**「プレイフルネス(Playfulness)」と「フィットネス(身体活動)」**を組み合わせたアプローチです。
本記事では、一見ビジネスとは対極にあるように見える「フィットネス」が、組織のコミュニケーションコストを下げ、チームビルディングに寄与するメカニズムについて解説します。
1. 創造性のスイッチを入れる「戦略的なプレイフルネス」
ビジネスにおける「プレイフルネス」とは、単にふざけることではありません。 心理学や組織開発の文脈では、**「認知の枠組みを柔軟にし、新しい可能性を探索するメンタル・ステート(心理状態)」**と定義されます。
既存のルーチンを回す場面では「規律」が重要ですが、新規事業や複雑な課題解決においては、脳がリラックスし、多角的な視点を持てる状態(オープン・モード)が必要です。
このモードへの切り替えを、個人のマインドセットに頼るのではなく、組織の「仕組み」として導入する動きが広がっています。 「正解のない問い」に対して、チームで試行錯誤するプロセスそのものを楽しむ。このスタンスが組織にインストールされているチームは、環境変化への適応力が高い傾向にあります。
2. フィットネスが「フラットな関係性」を構築する機能
組織内のコミュニケーションを活性化させる上で、フィットネス(身体活動)は非常に効率的なツールとして機能します。
会議室での対話は、どうしても「役職」「年次」「専門性」といった言語的な情報(バイアス)の影響を受けます。これらは秩序維持には役立ちますが、フラットなアイデア出しや、部門を超えた連携の阻害要因になることもあります。
一方、フィットネスの場においては、これらの属性は一旦リセットされます。 全員が等しく「身体を動かす一人の人間」として並ぶため、物理的にフラットな環境が形成されます。
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同じ動作を行う
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呼吸のリズムを整える
このシンプルなプロセス共有により、言語情報に頼らない相互理解が進み、結果として業務に戻った際の心理的障壁(コミュニケーションコスト)が低下する効果が期待できます。
3. 部門間の壁を越える「シンクロニー効果」
組織が大きくなるにつれ、部門間のセクショナリズム(サイロ化)は避けられない課題となります。 これを解消するために多くの調整会議が行われますが、より本質的なアプローチとして「身体的同期(シンクロニー)」の活用が挙げられます。
人間には、同じリズムや動作を共有した他者に対して、無意識に親近感や所属感を抱く性質があります。 フィットネスを通じて「共に動く」という体験を共有したチーム間では、防衛的な反応が抑制され、協調的な行動が誘発されやすくなることが知られています。
ロジックで調整する前に、まずは身体的な距離を縮める。 フィットネスは、チームビルディングにおける**「関係構築のショートカット」**として機能します。
4. 文化としての「アクティブ・レスト」
リーダーに求められる役割も、管理監督から「環境設計」へとシフトしています。 メンバーが持続的にパフォーマンスを発揮するためには、意図的に脳と身体をリフレッシュさせる「アクティブ・レスト(積極的休養)」の文化が有効です。
「健康のために運動を推奨する」という福利厚生の文脈だけでなく、**「組織のパフォーマンスを最大化するために、身体を動かす時間を設ける」**という経営戦略としての視点です。
休憩時間にチームで軽いストレッチを行う、ミーティングの前にリズム運動を取り入れる。 こうした小さな習慣の積み重ねが、組織全体に健全なリズムを生み出し、創造性を発揮しやすい土壌を醸成します。
