どのスポーツも、運動をする前には必ずストレッチを入念に行うものですが、ストレッチはなぜわざわざ時間を割いてまで行う必要があるのでしょうか?それは、ストレッチを行うことによって身体が動かしやすくなり、より練習の精度が上がるからです。今回はダンスにおけるストレッチの重要性と、そのメリットについてご紹介します。
ダンスを上達したいならストレッチはマストです!
ダンスの上達にはストレッチは必ず必要だと言っても過言ではありません。なぜならば、ダンスにおいて柔軟性の向上は、自分の思い通りに身体を動かすのに非常に重要なポイントだからです。
柔軟性が向上するメリット
関節をまたぎ、骨と骨をつないで身体を動かす筋肉(骨格筋)や腱は、柔軟性がなく硬い状態だと関節や骨に引っ張られて動きに制限が出てしまいます。
ストレッチで関節周りの筋肉や腱を柔らかくすることによって可動域が広がり、さまざまな動きにチャレンジすることができるようになります。
また、美しい姿勢への第一歩には柔軟性の向上が欠かせません。柔軟性が高まることで身体のバランスが整い、筋肉や関節にかかる負担が軽減するため、姿勢を正しい位置でキープすることができるようになります。
ダンスでダイナミックな動きができる
ダンスを始める前にストレッチを行うことで関節可動域が広がり、血行や代謝が促進されて筋肉の動きが良くなります。筋肉へと刺激が徐々に伝わって全身が温まることで、身体がダンスをする準備体制に入るのです。
また、ストレッチを行うことで身体を思い通りにコントロールしやすくなるため、ダイナミックに動けるようになったり、難しいダンスにも挑戦しやすくなったりします。例えば、足を高くあげる動きは身体の柔軟性がなければできない動きですし、身体かほぐされていない状態で行うと姿勢が悪くなりがちです。
高いパフォーマンスを発揮し、美しくかっこいいダンスをするためには、ストレッチは欠かせない存在だと言えるでしょう。
ダイナミックに動けることで脂肪燃焼効果もアップ、何より思うように動けることは楽しい
ダイナミックな動きをすることで運動量が増え、脂肪燃焼効果がアップします。また普段使わない部位の筋肉を使うため、シェイプアップも期待できるでしょう。そして、何より思うように動けるとダンスがさらに楽しくなって新しい目標も見えてくるはずです。
このように、ストレッチを行うことでさまざまな素晴らしい効果が期待できますが、ストレッチには「ケガ予防」と「疲れた身体をリリース」するというメリットも存在します。
ケガ予防としても
ダンスのジャンルによっては動きの強弱が激しくなることで強い負荷が身体の一点に集中する場合もありますが、筋肉が硬い状態のままで激しく動こうとすると筋肉や腱が急激に伸びて傷つき、大きなケガなどにつながるリスクが生じます。
柔軟性はしなやかさを表現するだけのものではなく、ケガの予防としても重要なポイントです。ストレッチを入念に行うことによって血行や代謝がよくなり筋肉の動きが柔軟にスムーズ動くようになるため、捻挫や肉離れ、じん帯損傷などの大きなケガを予防することができます。
疲れた身体をリリース
ここまではダンスをする前のストレッチについて紹介しましたが、運動後のストレッチにもさまざまな効果があります。
身体を激しく動かした後の筋肉は疲労が蓄積して緊張状態になっているため、ストレッチをしてその緊張を解くことが重要です。ストレッチで血行を促進し、全身に酸素を行き渡らせることで老廃物が排出されやすくなるため、翌日の筋肉のリスクが軽減されます。また、ストレッチによって副交感神経が優位になることでリラックス効果も期待できます。
運動前に行うストレッチには「ウォーミングアップ」、運動後のストレッチには「クールダウン」の働きがあるのです。
ダンス前にやるべきストレッチとダンス後に行うストレッチの違いとは?
ストレッチには、「運動前」に行うものと「運動後」に行うものがあります。
運動前のウォーミングアップとして行うのが良いとされている「ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)」は、身体を大きく動かして筋肉の伸縮を促し、関節も一緒に動かすストレッチです。ダイナミックストレッチを行うことによって筋肉が温まり交感神経が優位になるため、運動のパフォーマンスが向上します。また、関節可動域が広がって柔軟性が高まるため、ケガのリスク軽減に効果的です。
一方、運動後に行う「スタティックストレッチ(静的ストレッチ)」は、時間をかけて筋肉を伸ばすことで筋肉の緊張を和らげるストレッチです。
運動後の疲労した筋肉は乳酸がたまって硬くなっているため、代謝が悪く老廃物が流れにくい状態になっています。運動後のクールダウンにスタティックストレッチを取り入れることで、疲労がたまった状態の身体を回復させ、副交感神経を優位にする効果があります。また、筋肉の緊張やこわばりが和らいで元の位置に戻るため、代謝が良くなり老廃物が流れやすくなります。
まずはできることから
ストレッチが習慣になると身体にさまざまなメリットをもたらしますが、ストレッチにはある程度の時間が必要です。時間に余裕がなく、ストレッチにまで時間を割けないまま運動を始める方もいるかもしれませんが、ほんの数分でも行うことが重要です。まずはできることから積み重ねていき、ストレッチによる運動への効果を実感してみてください。